お仏壇に必要なのはお線香ではなく「香り」
お仏壇には必ず必要とされている「お線香」の起源をしらべていくと、アーユルヴェーダにたどり着きました。
アーユルヴェーダとは、古代インドの医学で「心・体・行動(生活習慣)・環境」を含めた全体としての調和を基本とする考え方をまとめたものなのだそうです。
その中で、お線香の果たす役割は「香り」と「煙」。
大昔から疫病と害虫の関係は分かっていたようで、不衛生な環境が健康に害をもたらすことから、害虫を駆除したり寄せ付けないために活用していたようですね。
煙が害虫を寄せ付けなかったり、特定の植物の成分が害虫を死滅させるというのは、日本でも「蚊取り線香」でおなじみです。
また、「香り」の効果はアロマテラピーの普及で、ご存知の方も多いと思いますが、リラクゼーションや免疫力の回復、循環器官の正常化などに良い影響を与えるようです。
下水処理施設が発達していなかった大昔は、糞尿の臭いや腐敗臭をマスキングするためにも「香り」は必要だったと思われますし、入浴施設が発達していなかった時代は体臭を消したり、お部屋の中を良い臭いで満たすために生活文化として「香り」を活用していたんですね。
ヨーロッパの住宅の窓辺にプランターが飾られ、花が植えられているのは装飾の目的だけではなく、窓を開けていても室内に虫が入ってこないようにするための生活の知恵なのだそうです。
つまり、お線香を焚くというのは、宗教的なしきたりではなく、もともとあった生活文化・・・ということのようです。
故人のご霊前で仏壇にお線香をそえるのに関しても諸説がありますが「香りの供養」であることに間違いはないようです。
要は、快適に健康に生活するために「香り」が必要であり、故人への供養にも「香り」が必要である・・・ということですから、「お線香」でなければならない・・・というわけではないということですね。
お線香の香も煙も好き・・・という方は、インテリアに合ったインセンストレイ(お香用のお皿)もありますし、細い棒状のお線香だけではなくコーン型のおしゃれなお香もありますので、ご自分の好みに合わせて室内の装飾と快適な空間を楽しむことができます。
お線香の香は好きだけれど、煙は嫌・・・という方は、煙が少ないお線香もたくさん発売されています。
そもそも、お線香の香も煙も嫌い・・・という方は、なにもお仏壇にお線香を供える必要はありません。
ご自身が好きな香りのポプリやアロマのエッセンシャルオイルで、快適な生活空間を楽しんでください。
それが、故人への供養にもなるのだと思います。