仏壇を置く和室が無い都市生活者や、仏間という専用スペースを設けることができないマンション生活者にとって、洋間に安置しても違和感の無い「モダンなデザインの仏壇」は、「自分たちの日常生活」と「祈り」や「ご供養」を両立するために重要な存在だと思います。
▲洋間でも違和感の無い壁掛け仏壇▲
ただ、仏壇が現代的になっても、ご供養の三具足「灯・香・花」が「ローソク・線香・仏花」のままでは、日常生活に「祈り」と「ご供養」を自然に溶け込ませることは難しいので、この「三具足」のスタイルを再考することが大切です。
現代に生きる私たちにとって「古いしきたり」にとらわれることなく、心からの「祈り」と「感謝の気持ちを伝えるご供養」を実現すればよいのですから、後ろめたく思う必要はありません。
仏教には「随方毘尼(ずいほうびに)」という言葉があります。
基本的な「教え」や「戒律」は守らなければならないが、「祈り」や「供養」のスタイルは、世界中の地域や時代の変化に合わせて変えてもかまわないという意味です。
このブログでも何度も書きましたが、「ローソク」は電気のない時代の「灯のご供養」であり、「線香」は不衛生な時代の防虫・殺菌と「香」の供養でした。
▲現代的な「灯」と「花」のご供養の例▲
ですから、ローソクがLEDに置き換わり、お線香がアロマのディフューザーに置き換わっても、何の問題もないどころか、「随方毘尼(ずいほうびに)」の考え方からすると、逆にそれが自然なことなのです。
▲花と香りのご供養の現代的なスタイル▲
ただ、それがお花になるとちょっと事情が変わってきます。
「仏壇にお供えするお花=仏花」
としてとらえるなら、仏間がある家で菊を中心とした従来のフラワーアレンジでも問題はないでしょうが、「洋間に仏壇」となると・・・
「ご供養としてのお花」と「日常生活を豊にする洋間のフラワーアレンジ」の両立・・・
「お花のアレンジ」をベースにした洋間における「仏壇とお花のインテリアコーディネート」が重要です。
いかに、「祈り」や感謝の気持ちを表す「お花のご供養」と仏壇の存在を、日常生活に溶け込ませるかが課題だと思うのです。
▲壁掛け仏壇とお花のコーディネート▲
壁掛け仏壇にお花を飾るというテーマでは、このブログですでに200本以上もの事例を紹介してまいりましたので、「生のお花を飾る」ということに関しては過去記事をご参照いただくとして、今回のシリーズはちょっと異なる視線から考察してみたいと思います。
洋間・・・特にリビングルームに仏壇をご安置するということは、すなわち「365日お花を飾る」という重荷を背負うことでもあります。
もちろん、仏間のあるお家で「365日生花を切らさない」という方もいらっしゃるでしょうし、仏壇に関係なく生活の潤いとして「365日生花を切らさない」という方もいらっしゃるでしょう。
でも、そうではない方にとっては「厄介な問題」を抱えこむことにもなりかねません。
その解決策としてのアイデアを提示するというのが今回のテーマの主旨です。
【プリザーブドフラワーを仏花として活用】
第一回は「プリザーブドフラワー」を仏花と生活を潤すお部屋のフラワーアレンジとして活用することをご紹介いたします。
プリザーブドフラワーは、既にご存知の方も多いとは思いますが、生花や葉を特殊な薬液を使って水分を抜いて乾燥させたお花です。
自然乾燥のドライフラワーと異なり、花や葉の色を鮮やかに保つことができるのが特徴です。
毎日とか数日おきに生花を取り替えるということは手間がかかりますが、プリザーブドフラワーならその点は心配いりません。
季節ごとや月々にプリザーブドフラワーを変えるとか・・・
生花とプリザーブドフラワーを織り交ぜるとか・・・
気分に合わせて、お部屋の雰囲気を変えるのと同時に、「祈り」と「供養」のお花をインテリアに合わせて変えるというのも、生活を豊かにし、憩いと潤いを満たすのに良いのではないでしょうか?
今回ご紹介したのは、プレゼントにいただいた物やお店で買ってきたものですが・・・
私自身は以前から、自分でプリザーブドフラワーを勉強して作ってみたいと思っています。
【次回は「ドライフラワー」がテーマです】