コンセプトは、おしゃれな女性のためのインテリア仏壇
母親用の1号機を作った後・・・
母親に背中を押されて一般需要に向けた商品開発に取り組み始めたわけですが・・・
「インテリアコーディネートできる仏壇」
というコンセプトは最初からありました。
「仏壇をインテリア化するのではなく、インテリアアイテムを仏壇化したい」
という発想は、私が住宅メーカーで商品企画に携わり、多くのインテリアコーディネーターの女性と仕事をしてきたからこそ生まれた発想かもしれません。
企画住宅やコンセプト住宅を開発し・・・
モデルハウスを建築したり、パンフレットやプロモーションビデオの撮影のためにインテリアコーディネーターの方々やスタイリストの女性と仕事をする中で、多くのことを学ばせていただきました。
その会社の創立40周年を記念して発表した新しい提案の住宅のコンセプト
「快適家事設計」
は、私が生み出したアイデアでした。
主婦は家事の奴隷であってはいけない
せっかく新しい住宅を手に入れたのに、ハウスキーピングに追われてゆとりを無くしてはいけない
そう考えていました。
本社で商品企画の職務に就く前に、現場で営業を経験したときに気付いたこと・・・
それは、多くの奥様が広い家を夢見て新築されたりリフォームされたりしますが、
広い家に住むと、掃除する面積が増えて家事に必要な時間が増える
広い家に住むと、片付けなくても生活できるから、狭い家に住んでいた時に、収納がたくさんほしいと希望されていたのに、家が広くなってもちっとも片付かない
料理しながらの「ながら家事」ができるように・・・とキッチンのそばに洗濯機置き場を希望されたりする方がいらっしゃいますが、そのあとの洗濯物を干す場所、畳む場所、しまう場所の動線が長いために、結局は余計な時間がかかってしまうという現実
家事を合理的にこなすために、家事を集約できる家事スペースが欲しい・・・と希望されて専用の部屋を作っても、結局テレビを見ながら洗濯物を畳んだり、アイロンをかけたりで、家事スペースは物置と化してしまう
といった、理想と現実のギャップをたくさん見てきました。
だからこそ、住宅作りのプロとして、奥様が快適に短時間で家事をこなし、ゆとりの時間を生む動線設計と機能設計を追求した住まいの提案をしたかったのです。
「時間を設計する」
それがコンセプトでした。
「生活のゆとりとは何か」
を考えた末に出た結論は、スペースのゆとりでも、金銭的なゆとりでもなく、住宅メーカーが奥様に提供できる「ゆとり」とは、
「家族団らんの時間のゆとり」
「自分自身の趣味に没頭できる時間のゆとり」
であり、「快適」とは「苦にならないこと」が大前提にあるうえに、清潔な環境、整理整頓された環境を保ちやすいことが自然にできるように設計しておくこと
といった条件を整理していったのです。
今ではスタンダードになっている、収納が引き出し式になっているシステムキッチンは、私たちのこのプロジェクトではこのとき(今から25年も前の話ですが)すでにメーカーに依頼してオリジナル商品化していました。
この提案住宅の中に、奥様が快適に家事をこなすためには、勝手口のそばに、生ごみ・可燃物・不燃物・古新聞古雑誌や段ボールなどの分別ごみを整理して、回収日に出しやすくするためのゴミ整理置場が必要だと判断して設置したのですが、役員会でこの案に反対意見が出て私は役員会に呼び出されました。
当時はまだバブルの真っただ中で、東京の住宅地の土地の値段が300万円くらいに跳ね上がっていた時期で、建築費も高騰していて注文建築では坪単価が60万円~70万円もかかっていました。
役員の反対意見は、
「土地と建物で、一坪当たり360万円かかるのに、おまえはゴミ置き場に360万円もかけるのか!」
ということでした。
ちなみに、当時私はプロジェクトのリーダー的な役割は担わせていただいていましたが、平社員でした。
その会社では平社員が役員会に呼び出されて質問に答えるといった前例はなかったようですが、役員会に出席して創立40周年の記念住宅の方向性を報告していた部長と課長が役員からの質問に答えられずに議事が進行せず、秘書からの連絡で急遽私が呼ばれたのです。
何事かと思ってドキドキしながら、初めての役員会に出席した私でしたが、
「ゴミ置き場に360万円も掛けるのか」って、いきなり怒った口調で言われても・・・
と思いながらも
「では、坪360万円も出されて家を建てられた方が、住んでみて最初の一週間で、キッチンの片隅にポリ袋に入ったゴミ袋が3つも4つもあって、生ごみの臭いがするような住宅を望むでしょうか? そんな現実に直面してしまったら、当社に建築を頼んだことを後悔しないでしょうか?」
と言ったら、誰も反論せず
「良く分かった」
といって、私はお役御免になりました。
話が随分横道にそれてしまいましたが、その当時からずっと、
「女性が素敵に暮らせる家」
というのが、私の中にあるのです。
だって、旦那様って、平日は家に帰ってきて、ご飯食べてテレビ見て風呂に入って寝るだけじゃないですか(笑)。
お休みの日だってゴロゴロしてるだけだし。
最近の若い男性は、家事や育児にも参加する人が増えましたが・・・
平成の始めころまでは、多くの男性は粗大ごみって言われてましたから。
奥様業は大変です。
専業主婦でも大変なのに、共稼ぎでお子さんがいらっしゃったりすると、実質は男性の3倍くらい働いている計算になります。
でも、それを苦にせず、楽しく明るく暮らしている女性って凄いと思うし、輝いています。
しかもそういう女性って、身なりだけでなく、インテリアの趣味も良かったりするわけです。
こういう風に書くと、まれにしかいないスーパーウーマンのように感じられるかもしれませんが、回りをよく見てください。
輝いている素敵な女性はたくさんいらっしゃいますよ。
そんな、素敵な女性に、おしゃれに暮らす女性に、カッコ良く生きている女性に・・・
もしくは、今はそうではないと思っていてもそれを目指している夢を持った女性に・・・
もしも仏壇が必要になったときに、真っ先に選んでもらえる
おしゃれな女性のためのおしゃれな仏壇の代名詞が「鏡壇”ミラリエ”」になったら素敵だなと思っています。
だから・・・試作機のフレームを白にしたのは、私のそんな勝手な思い込みがあるからなのです。