仏壇業界の小売実績は、統計データを見ると年々下がっているようです。
でも、このデータだけでは仏壇の販売台数が落ち込んでいるのかどうかを判断することはできません。
葬儀業界は逆に大幅に業績を伸ばしており、仏壇を仏壇屋さんで買うのではなく、もしかしたら葬儀屋さんが手配しているのかもしれません。
葬儀の形態も「家族葬」「友人装」といった小規模化・低予算化しているのに、葬儀業者の数が増えたり、葬儀場の数が増えたりしているのは、昔のように自宅でお葬式ができなくなっているという背景もあるのだと思います。
「家族葬」や「友人装」といった小規模の葬儀が増えてきているということは、きっと仏壇にも影響がでてきているのではないかと思います。
葬儀の後に、
亡くなった方(=仏様)を祀るための「仏壇」
という発想から
故人を偲ぶ「メモリアルボックス」
が求められているのではないかと感じています。
かく言う私も8年前に父を亡くしましたが・・・
父は私が小学生のときに、原因不明の病で何年間も大学病院に入院していた時期があり(病名に父の名前が付いているくらい珍しい病気だったようです)、その後、完治して社会復帰はしましたが、遺言で自分が死んだ時には医学の発展のために・・・という本人の希望で大学病院に検体しました。
しかも、お墓は不要というこれまた本人の希望で、海に散骨しました。
大学病院から戻ってきたときにはすでに灰になったお骨だけでしたから、家族揃っての散骨式が実質的なお葬式みたいな感じでした。
本人はお墓も不要、位牌も不要・・・
「輪廻転生」という仏教観の人でしたから、お墓にも位牌にも「そこに私はいません」ということなのです。
だから・・・お仏壇は必要ないのですが、「父を偲ぶ」ための「何か」は必要なのです。
お彼岸の墓参りへの行き先が無い私にとって、子供たちにも「おじいちゃん」への感謝の気持ちを表すために、「何か」が必要なのです。
それは、フォトフレームひとつで済むことなのかもしれません・・・
それで済む家族も多いかもしれません。
でも、さんざん父には反抗した私ですが、育ててくれた感謝の気持ちは忘れません。
生前よりも、亡くなってからの方がその思いは強くなりました。
私の高校時代の先輩が昨年お母様を亡くされて(私もお世話になった方なのです)、ブログの記事に
「今度生まれてくるときも、あなたの息子でいたい」
と書かれているのを読んだ時に、涙がこぼれました。
その先輩に、
「私は自分の母親に対して、そんな気持ちにはなれないかもしれない」
と伝えたところ、ご自身もお母様が余命あとわずかになったときに、初めてその感情が湧き、亡くなられた後になって強くそう思われるようになったとのお返事をいただきました。
お葬式の形態が時代によって変わってきたり、お墓や位牌が形骸化したとしても・・・
故人を偲ぶ気持ちが薄れるということはあり得ないと思います。
生活習慣が洋風化したから、「偲ぶ」スタイルに変化はあると思いますが、故人への感謝の気持ちが「すたれる」なんてことは絶対にないはずなのです。
だからこそ、現代の生活スタイルにあった「メモリアルボックス=仏壇」が必要なのだと思います。
それは「家具調仏壇」とか「現代風仏壇」とか「モダン仏壇」といった従来の仏壇を今の生活様式に無理やり合わせようとしたものではなく・・・
もっと自然に生活に溶け込むもの
もっと自然にインテリアに溶け込むもの
であってしかるべきなのではないかと思うのです。
核家族化と共に、住宅の一世帯の平均床面積は小さくなりました。
生活空間の洋風化に伴い、仏壇を置くスペースも限られてきました。
だから「コンパクト仏壇」「薄型仏壇」「ミニ仏壇」「スリム仏壇」といった方向になっていくのは必然なのでしょう。
でも、器の大きさが小さくなったからといって、「感謝の気持ち」や「偲ぶ気持ち」が小さくなるわけではありません。
「故人を偲ぶ気持ち」「故人に感謝する気持ち」がいつも家族の中心にあってほしい・・・
いつも生活の中心にあってほしい・・・
「グレイスプレイス」というブランド名には「感謝と祈りの場所」
という意味と
「美しく洗練された空間」
という二つの意味があります。
「鏡壇”ミラリエ”」というのは、単なる「商品」「製品」にすぎません。
ただ、生活の中心に「鏡壇”ミラリエ”」があることによって、お客様ご自身とそのご家族の皆様にとってその場所が最高の「グレイスプレイス」になることを願ってこの名前を付けました。
そして、故人への「感謝の気持ち」を持ち続けられる人、ご先祖様への「感謝の気持ち」を持ち続けられるご家族には、間違いなく幸福が訪れるはずですから、その気持ちを保ち続けられる空間づくりをお手伝いできることが私の願いであり、「鏡壇”ミラリエ”」はそのために必要な
「メモリアルボックス」=「メモリアル仏壇」
であるということなのです。